以下、和田純夫 監修『みるみる理解できる量子論―相対論と並ぶ自然界の2大理論 摩訶不思議なミクロの世界 (ニュートンムック―サイエンステキストシリーズ)』P.84-85を参考にさせていただきました。
不確定性関係によると、真空でさえエネルギーが完全にゼロの状態はありえない。
なぜなら、完全にゼロだとエネルギーが確定してしまい、不確定性関係に反するから。
不確定性関係によるとごく短い時間でみたとき、場所ごとのエネルギーは不確定でゆらいでいる。1秒の1兆分の1のさらに1億分の1以下の短い時間では、ある領域が非常に高いエネルギーをもつ。そこでは、その高いエネルギーを使って電子などの素粒子が生まれてくる可能性も出てくる。
ただ、真空から生まれた素粒子はすぐに消滅してしまう。
エネルギーの不確定性は「ごく短い時間」という条件つきなので、長い時間では、不確定性はなくなるからだ。
電子が真空から生まれる時、電子にそっくりでプラスの電気をもつ「陽電子」という素粒子が電子とペアで発生する。
電子はマイナスの電気をもつが、もともとそこに電気はなかったので、陽電子のプラスの電気で打ち消す必要がある。
同じ理由で、電子が消える時には陽電子も必ず消える。
以上のように
量子論が明らかにした真空の姿とは、「真空のもつエネルギーのゆらぎによって、素粒子があちらこちらで生まれては消えている」だった。
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